終刊号となる『綜合看護』が届いた。薄井坦子先生のエッセイから始まり,南郷継正先生の論文で終わる構成になっている。両者ともに,自らの人生を振り返るような内容になっているのは興味深い。
終刊号のテーマはずばり,「専門家としての責任感」ということであると感じた。個々の論文についての感想は次回以降,掲載していく予定であるが,ほぼどの論文にも「責任」という言葉が登場したように思う。
筆者も心理臨床(カウンセリング)を行っていく中で,専門家としての責任というものを痛感している。現在,心理士が行うカウンセリングは保険適用外であるため,決して安くないお金をいただいてカウンセリングを行っている。その金額に見合ったサービスをきちんと提供できるような技術を持たなければ,専門家としての責任を果たしたとはいえないし,患者のニーズを満たす介入ができなければ,専門家と自負することはできないと感じている。
『綜合看護』は今回で終刊となってしまうが,日本弁証法論理学研究会の先生方のすべての論文で,『学城』に触れられており,いくつかの論文は『学城』に引き継がれる旨の記述があった。これは我々にとっては非常にうれしく,ありがたいことである。最新の『学城』第10号には,年二回の発刊に向けて取り組んでいるということも書いてあったので,『綜合看護』の代わりに『学城』が年二回出れば,我々としてはいうことはない。
さて,以下には,本稿で取り上げる論文のタイトルと,編集部によるリード文,そして私が仮に付けた見出しを紹介する。次回以降,この順に,各論文の感想文を認めていきたい。
神庭純子「初学者のための『看護覚え書』(39)」
前回に引き続き取り上げる『看護覚え書』の「補章 看護師とは何か」には,看護師を目指す人たちが学んでおくべき必要な視点や姿勢がしっかりと示されている。「看護師とは何か」という一般論からものごとを考えさせる中で,ナイチンゲールが強調したかったことは何かを読みといていく。
(1)前回の振り返り
(2)患者がわかってもらっていると信じていることが重要
(3)経験をもたらすのは“なぜ”に視点をおいた観察だけである
(4)高い理念に基づいた使命感が「熱意」のある看護には必要
(5)「なぜ」という問いかけが学習プロセスにも必要
(6)必要性を主体性をもって理解して行う
(7)“なぜ”“何のために”と問いを発するにも教育が必要
橋本律子「ナイチンゲールの説く看護教育を考える(3)」
自らの入院経験を通して,橋本氏は「患者の生命力の消耗を最小にする」援助ができるよう技術を向上させたいとの思いを強く抱いて臨床実習を迎えた。橋本氏は,志望者数は増加しているのに「看護の質を保つ」などの理由で准看護学校が閉鎖されていることに,疑問を投げかける。
(1)准看護学校は技を創る時間が少ない
(2)非看護と看護の違いを経験する
(3)志望者は増えているのに准看護学校は閉鎖されている
(4)高度な知識より目的意識やなまの知識が有用
瀬江千史・本田克也他「次世代を担う看護学生・医学生への医学概論教育 講座(43)」
これまで,医学生を育てる実践を通して,医学体系に基づく医学教育論が,実力のある医師を育てるのにいかに有用であるかを実証してきたが,今回は,膨大な知識を暗記し過去問を説く,医師国家試験に対応したアタマづくりをしていくと,論理的なアタマづくりが破壊されかねないことを説く。
(1)前回の振り返り
(2)膨大な暗記学習が論理的なアタマづくりを破壊していく
(3)医師国家試験は医学教育を歪めている
(4)国試が医療界における人材育成の体系性を破壊した
(5)国試の変遷
(6)国試が医学教育のゴールになってしまっている
(7)医師のアタマは受験勉強的にしか働かなくなる
(8)現代は体系化された医学に基づく医学教育論が切望されている
瀬江千史「看護のための生理学(47)」
本連載では,これまで「人間が生きているとはどういうことか」を理解し,看護実践,医療実践,さらに育児実践にも活かしてもらえるように,本能のみならず認識が統括している「人間の生理学」を論じてきた。最終回の今回は,読者からの感想や質問を取りあげて答えていく。
(1)人間は生きることのすべてを認識が統括している
(2)理論を実践に活かすには
(3)小児科だけが全人的に診ることができる
(4)生活過程の事実の構造に分け入っていく
(5)医療現場での事実で,言葉の像が描けるようになった
(6)言葉で学んだ理論を自分の具体的事実で考えて書く
(7)一般論は事実で実感として分かるようになる
(8)理論を使えるようになるには志と情熱が絶対に必要である
(9)1日1つでも一般論から解く努力をしていく
(10)再措定には「生涯かけて」の決意と情熱が要求される
南郷継正「なんごう つぐまさが説く看護学科・心理学科学生への“夢”講義(60)」
南郷氏の初連載は『試行』誌における「武道の理論」であり,後に単行本化され,版を重ねていった。この書には,読むと弁証法等に興味を持ち,すぐに購入したくなるような見事な推薦文があった。編集方針で今はなくなってしまった推薦文を,他の3著の推薦文とともに引用する。
(1)私は生涯指導者であり続けたいと決意した
(2)『武道の復権』から構造論的展開が始まっていく
(3)50歳を越えて脳の実体的発展をなすことを決意した
(4)人生最後の仕上げとして「女性の武道家の誕生を!」と願った

