(1)報告の概要と提示された論点
(2)論点1:そもそも科学とは何か
(3)論点2:科学史の論理構造をどう把握するか
(4)論点3:科学史における中世の意味とは
(5)参加者の感想
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(1)報告の概要と提示された論点
2012年の2月例会では、科学史(とくに自然科学史)の全体像について扱いました。これは、来月からシュテーリヒ『西洋科学史』(全5冊、現代教養文庫)の読書会を開始するのに先立って、科学史の全体像を大雑把にでも描いておくこと、また、その全体像を踏まえつつ科学史をどのような視点でみていくべきかについて議論すること、いいかえれば『西洋科学史』を読んでいく上での問題意識の共有を図ることを目的としたものでした。
まず、担当者より以下のようなレジュメにもとづいた報告がおこなわれました(なお、以下は自然科学史上の重要な発見を並べたものであり、本来はいわゆる哲学や社会科学なども含めた学問の歴史として、社会の歴史とのつながりにおいてつかんでいかなければならない、との指摘もなされました)。
科学史の全体像
【1】古代の科学
(1)ギリシャ自然哲学
タレス,ピュタゴラス(数理的世界の観念),エンペドクレス
(4元素説)
(2)アテナの文化
プラトン,アリストテレス(天文学,生物学)
(3)ローマ時代の科学
ガレノス(医学),プトレマイオス(天文学)
【2】中世の科学
7世紀後半からギリシャ科学を受け継ぎアラビア科学が発展
→ヨーロッパへ
12世紀頃からヨーロッパに新しい科学の精神動き始める
13世紀 ロジャー・ベーコン(近代科学的観念の先駆),錬金術
【3】近代科学の成立(15世紀半ば〜17世紀)
科学革命の軸:天体の幾何学から天体の力学へ
(1)天文学の発展
コペルニクス(1543,地動説)
ケプラー(地動説の確立・発展)
ガリレオ(動力学確立,天体の望遠鏡観測)
(2)近代力学の成立
ガリレオ(地上の物体の運動)
デカルト(力学的自然観,生命機械論)
ニュートン(全自然の統一的力学体系)
(3)その他の分野
ヴェサリウス(1543,解剖学)
フランシス・ベーコン(『新オルガノン』)
ハーヴィ(血液循環説)
ボイル(近代化学の先駆)
【4】産業革命期の科学(18世紀後半〜19世紀前半)
(1)電気・電磁気の研究
ガルヴァーニ,クーロン,ヴォルタ,オーム,エールステーズ,
アンペール,ファラデー
(2)光・熱の研究
ヤング,カルノー
(3)近代化学の基礎の確立
ラヴォアジェ(元素観の変革),ドルトン(原子仮説),
アヴォガドロ(分子仮説)
(4)有機化学の基礎づけ
ヴェーラー,リービヒ
(5)宇宙観の広がり
カント・ラプラス(星雲説),ハーシェル(天王星の発見)
(6)近代地質学の基礎づけ
ハットン,ライエル
(7)生物学の発展
リンネ・ビュフォン(分類学),キュヴィエ(比較解剖学),
ラマルク(進化論)
(8)生理学の新たな発展
ベル,ミューラー,マジャンディ
【5】19世紀における発展
(1)物理学の巨大な発展
マイヤー・ヘルムホルツ(エネルギー保存の法則)
クラウジウス・ケルヴィン(エントロピー増大の法則)
マクスウェル・ボルツマン(気体の分子運動論)
ファラデー・マクスウェル(電磁気学・光学)
(2)元素の周期律の発見
メンデレエフ
(3)生物学の発展
シュライデン・シュワン(細胞説の確立)
ダーウィン・ウォレス(進化論の確立)
メンデル(遺伝法則の発見)
(4)生理学・生化学の広汎な発展
デュ・ボア−レモン,ベルナール,ヘルムホルツ,パスツール
(5)細菌学・免疫学の基礎づけ
パスツール,コッホ
【6】現代的段階への歩み(19世紀末〜20世紀前半)
放射線,放射性元素の発見
実験生物学の成立と発展
物理学の新たな段階への発展(相対性理論,量子力学)
生物学の諸分野の急速な発展
(抗生物質発見,ウイルス結晶化)
以上のようなレジュメにもとづいての報告を受けて、以下のような論点が出されました。
論点1:そもそも科学とは何か。
科学的認識と非科学的認識(宗教的認識や哲学的認識)との相違とは。
論点2:科学史の論理構造をどう把握するか。
論点3:科学史における中世の意味とは。いわゆる科学革命はなぜ起きたか。
これらの論点についてどのような討論をすすめていったかについては、次回以降で報告していきます。

