2016年02月19日

一会員による『学城』第13号の感想(1/13)

《目 次》(予定)

(1)「学問の体系化」が『学城』第13号の全体を貫くキーワードである
(2)学問には像の文字化と文字の像化が必要である
(3)他分野に学ぶことの重要性
(4)知識を論理的に習得することが学問構築への端緒となる
(5)1つの言語が創出される歴史的過程性を把握することの重要性
(6)「学問の体系化」に向けた原動力とはどういうものか
(7)概念化とは、事実の構造に分け入ることによって論理構造を把握し、その論理構造の一般性を言語化していくことである
(8)理論化には人類の学問の発展の道を辿り返す必要がある
(9)学問を構築するためには事実の把握と一般論の学びが必要である
(10)「学問の体系化」には対象の過程性にしっかりと着目する必要がある
(11)対象を全面的に把握するとはどういうことか
(12)「学問の体系化」のためには、一般教養を論理レベルで学ぶ必要がある
(13)『学城』第13号は「学問の体系化」への道標である


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(1)「学問の体系化」が『学城』第13号の全体を貫くキーワードである

 2015年10月27日、最新の『学城』第13号が発刊された。10月29日に家に帰ると、ポストにこの第13号が入っていたのであった。それからしばらくして、現代社のホームページにも新刊として掲載されたが、やはりこうした学術書は、誰よりも早く手に入れて、大いなる刺激を受けるべく、ぜひとも定期購読すべきだと思う。学問の最新の成果にいち早く触れたい、という強烈な思いがなければ、この『学城』誌を学んでも大した成果は得られないだろう。

 それはさておき、今回の13号で特徴的なのは、2015年中2度目の発刊だということである。これまで『学城』誌は、2004年に第1号が世に出て以来、毎年1号ずつ出版され、2015年3月には第12号がものされていた(号数に2003を足すと西暦年になる)。ところが今回は、第12号から7カ月ほどで、同じ年に新しい号が出たことになる。これは第10号の「編集後記」にて、「今後は年二回の発刊を現実化すべく努力していく所存である」と決意が述べられ、第11号の「編集後記」で「わが研究会においては志ある若い読者のために、発刊を年二回に増やし、初学者向けの教育が可能な、いわゆる入門編となる論文も掲載したい」と展望が示され、第12号の「編集後記」で「年二回の発刊を目指して努力してきた」と言及されていることが、遂に実現したことを意味している。年二回の発刊となると、それだけ執筆作業・編集作業も忙しくなるだろうし、何よりも、毎号毎号着実にレベルアップしての論文執筆であるだけに、その実力向上のスピードを上げていかなければならない、必死の研鑽を量・質ともに格段に高めていかなければならない、ということだと思う。これは実際、並大抵のことではないだろう。認識の深化速度を速め、次々に問うて論じるべき中身を執筆し続けることは、相当に過酷な道のりだと思うが、これこそが「学問への道」だということをしっかりと把握しておくべきだろう。我々も、今後年二回発刊されるこの『学城』誌に必死に学び続け、合わせて、研究成果を毎日欠かすことなくこのブログに掲載していくことを約束したいと思う。

 さて、今回読み解いていく第13号に関しても、いつものように全体を貫くであろうテーマを設定して、そのテーマをもとにして、そのテーマから各論文に光を当てていくことを中心にして、感想文を執筆していくこととする。では第13号全体を貫くテーマとは何であろうか。それは「学問の体系化」ということではないだろうか。個々の論文に関しては、次回以降で順次詳しく述べていくこととするが、ここでは「巻頭言」に述べられている内容について確認しておくこととする。

 「巻頭言」において南郷継正先生は、ヘーゲルが『精神現象学 序論』で学問は体系化して初めて後世に残るレベルでの価値ある学となるのだと説いていることを踏まえて、「学問の体系化」のためには、まずは「弁証法的な論理能力」が必須となることを説いておられる。ここでまず、「体系とは何か」という問題について、考えておく必要がある。この問題については、医学者P江千史先生が以下のように明確に説いておられる。

「体系とは読んで字のごとく体の系である。すなわち、人間の体のようにつながってひとまとまりになっているものである。人間の体はみればわかるように、頭がありその下に体幹があり、体幹から手、足が出ている。そして、全身が頭に存在する脳によって、神経・ホルモンを介して完全に統括されている。このようにあるべきところにきちんとあるべきものがあり、それが一貫としてつながってひとかたまりになって脳の支配の下に統括されながら活動していけるものが、体系なのである。」(『看護学と医学(上)』現代社、p.78)

 ここで重要なのは、あるべきところにきちんとあるべきものがあること、それらが一貫としてつながってひとかたまりになっていること、さらに脳の支配のもとに統括されていること、の3点である。「学問の体系化」というのはこういうことであって、逆にいえば、あるべきところにきちんとあるべきものがなかったり、それらが一貫としてつながってひとかたまりになっていなかったり、脳の支配のもとに統括されていなかったりした場合、それは学問体系とはいえないのだ、といことである。そしてこの「学問の体系化」のためには、何よりも「弁証法的な論理能力」が必要だと南郷先生は説いておられるのである。ではなぜ、「学問の体系化」には「弁証法的な論理能力」が必要なのであろうか。この問いについても念頭におきながら、各論文を読み進めていきたい。

 では最後に、『学城』第13号の全体の目次を以下にお示しする。

学 城 (学問への道)  第13号


◎南郷継正  巻頭言 ― 改めて大志を抱く諸氏に

◎本田克也  「南郷継正講義」 遺伝子の体系性から生命の世界の発展性の帰結たる人間の遺伝子の重層構造を説く (1)

◎北條翔鷹  実戦部隊飛翔隊修業の総括小論 (3)
         ―1983年〜1988年3月の実戦部隊飛翔隊合宿修業小論

◎神庭純子  現代看護教育に求められるもの (2)
         ―弁証法・認識論から説くナイチンゲール看護論

◎悠季真理  哲学・論理学研究余滴 (4)

◎北嶋  淳  人間一般から説く障害児教育とは何か (7)
 志垣  司  ―障害児教育の科学的な実践理論を問う

◎瀬江千史  「医学原論」 講義 (11)
         ―時代が求める医学の復権

◎瀬江千史  新・医学教育 概論 (2)
 本田克也  ―医学生・看護学生に学び方を語る
 小田康友
 菅野幸子

◎聖  瞳子  医療における理論的実践とは何か
 高遠雅志  ―初期研修医に症例の見方、考え方の筋道を説く
 九條  静  〈第5回〉 マイコプラズマ肺炎1
 北條  亮

◎朝霧華刃  唯物論の歴史を学ぶ (1)

◎橘  美伽  武道空手上達のための人間体を創る 「食事」 とは何か (2)

◎南郷継正  武道哲学講義 〔10〕
         ―学問とはいわば世界地図を描くことである
         (2008年冬期ゼミ講義詳説)

◎悠季真理  編集後記
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 ・2014年4月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』第15〜19章
 ・4年目教師としての1年間を実践記録で振りかえる
 ・文法家列伝:『ポール・ロワイヤル文法』編
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 ・道徳教育の観点から見る中世の教育と教育思想
 ・もう一人の自分を育てる心理療法
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 ・2014年9月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』第41〜43章
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 ・シュリーマン『古代への情熱』から何を学ぶか
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 ・必要な事実を取り出すとは――一会員による『医学教育 概論(2)』の感想
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 ・事実と論理ののぼりおり――一会員による『医学教育 概論(5)』の感想
 ・夏目漱石を読むC――彼岸過迄、行人、こころ
 ・2015年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』エムペドクレス〜アナクサゴラス
 ・フロイト『精神分析入門』を読む(上)
 ・デューイ教育論の歴史的意義を問う―『民主主義と教育』をとおして
 ・2015年8月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ソフィスト派・ソクラテス
 ・アダム・スミス『法学講義』を読む
 ・学問上達論とは何か――一会員による『哲学・論理学研究(1)』の感想
 ・2015年9月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ソクラテス派、プラトン
 ・庄司和晃追悼論文―庄司和晃の歩みはいかなるもので、何を成し遂げたか
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』第1部第4章の要約
 ・一会員による『学城』第2号の感想
 ・フロイト『精神分析入門』を読む(下)
 ・夏目漱石を読むD――道草、明暗
 ・2015年10月例会報告:ヘーゲル『哲学史』プラトン 弁証法、自然哲学、精神の哲学
 ・ナイチンゲール看護論を心理臨床に活かす――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(1)』の感想
 ・文法家列伝:時枝誠記編(補論)
 ・英語教育改革を問う―『英語化は愚民化』書評―
 ・2015年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレスの形而上学,自然哲学
 ・2年間の育児を振り返る
 ・2015年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレス(精神の哲学・論理学)
 ・年頭言:歴史的岐路における道標としての学問の創出を目指して
 ・安保法制をめぐる議論から日本の課題を問う
 ・図式化にはどのような効用があるのか
 ・看護師と臨床心理士に共通した学び方――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(2)』の感想
 ・2016年1月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ストア派の哲学、エピクロスの哲学
 ・ケネー『経済表』を読む
 ・SSTを技化の論理で説く
 ・一会員による『学城』第13号の感想
 ・2016年2月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新アカデメイア派、スケプシス派
 ・心理士教育はいかにあるべきか――一会員による『医学教育 概論(6)』の感想
 ・仮説実験授業を問う―アクティブ・ラーニングの観点から―
 ・一会員による『学城』第3号の感想
 ・新大学生に与える
 ・2016年3月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新プラトン派
 ・6年目教師としての1年間を実践記録で振り返る―学級崩壊への過程を説く
 ・2016年4月例会報告:ヘーゲル『哲学史』中世哲学序論〜スコラ哲学
 ・専門家のあり方を問う――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(3)』の感想
 ・比較言語学誕生の歴史的必然性を問う
 ・『吉本隆明の経済学』を読む
 ・2016年5月例会報告:ヘーゲル『哲学史』学問の復興
 ・ブリーフセラピーを認識論的に説く
 ・夏目漱石の思想を問う
 ・コメニウスの歴史的意義を問う―『大教授学』をとおして
 ・オバマ米大統領の「広島演説」を問う
 ・2016年6月例会報告:ヘーゲル『哲学史』近代哲学の黎明
 ・心理士の上達に必須の条件――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(4)』の感想
 ・夏目漱石の中・長編小説を読む
 ・2016年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』デカルト・スピノザ
 ・改訂版・観念的二重化への道
 ・ロックの教育論から何を学ぶべきか
 ・文法家列伝:ソシュール編
 ・2016年8月例会報告:ヘーゲル『哲学史』「悟性形而上学」第二部・第三部
 ・どうすれば科学的な実践が可能となるか――一会員による『科学的な看護実践とは何か(上)』の感想
 ・夏目漱石『明暗』の構造と結末を問う
 ・ルソーの教育論の歴史的意義を問う
 ・2016年9月例会報告:ヘーゲル『哲学史』バークリー〜ドイツの啓蒙思潮
 ・高校生に説く立憲主義の歴史
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』を読む
 ・2016年10月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ヤコービ、カント
 ・専門家教育には何が必要か――一会員による『科学的な看護実践とは何か(下)』の感想
 ・アダム・スミス『国富論』を読む
 ・2016年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』フィヒテ,シェリング,結語
 ・3年間の育児を振り返る
 ・近代教育学の成立過程を概観する
 ・2016年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』のまとめ
 ・年頭言:機関誌の発刊を目指して
 ・激動する世界情勢を問う
 ・『障害児教育の方法論を問う』から何を学ぶべきか―一会員による感想
 ・一会員による『学城』第4号の感想
 ・2017年1月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』、ヘーゲル『哲学史』におけるカント『純粋理性批判』
 ・斎藤公子の保育実践とその背景を問う
 ・認識の形成がうまくいくための条件とは何か?――一会員による『“夢”講義(1)』の感想
 ・本来の科学的な教育とは何か
 ・2017年2月例会報告:カント『純粋理性批判』序文
 ・システムズアプローチを弁証法から説く
 ・一会員による『学城』第14号の感想
 ・ルソー『学問芸術論』を読む
 ・新大学生に説く「大学では何を如何に学ぶべきか」
 ・2017年3月例会報告:カント『純粋理性批判』緒言
 ・斉藤喜博から何を学ぶべきか
 ・重層弁証法を学ぶ――一会員による『“夢”講義(2)』の感想
 ・小中一貫教育を問う
 ・ヘーゲル『哲学史』を読む
 ・2017年4月例会報告: カント『純粋理性批判』先験的感性論
 ・文法家列伝:宮下眞二編
 ・改訂版 心理療法における外在化の意義を問う
 ・マルクス思想の原点を問う
 ・2017年5月例会報告:カント『純粋理性批判』先験的論理学の構想その他
 ・弁証法が技化した頭脳活動を味わう――一会員による『“夢”講義(3)』の感想
 ・教育の政治的中立性を問う
 ・日本経済の歴史を概観する
 ・2017年6月例会報告:カント『純粋理性批判』純粋悟性概念の演繹
 ・一会員による『学城』第15号の感想
 ・改訂版 続・心理療法における外在化の意義を問う
 ・2017年7月例会報告:カント『純粋理性批判』原則の分析論 緒言〜第2章第3節2
 ・ルソー『人間不平等起原論』の歴史的意義を問う
 ・夢の解明に必須の学問を学ぶ――一会員による『“夢”講義(4)』の感想
 ・ヒュームの経済思想――『政治論集』を読む
 ・現代日本の政治家の“失言”を問う
 ・2017年8月例会報告:カント『純粋理性批判』経験の類推
 ・障害児の子育ての1年間を振り返る
 ・新しい国家資格・公認心理師を問う
 ・経済学の原点を問う――哲学者としてのアダム・スミス
 ・2017年9月例会報告:カント『純粋理性批判』経験的思惟一般の公準その他
 ・徒然なるままに――40歳を迎えて