2015年10月24日

一会員による『学城』第2号の感想(1/14)

《目 次》(予定)

(1)「大志・情熱」が『学城』第2号の全体を貫くキーワードである
(2)天下国家を論じる大志が学問を構築する上では必須である
(3)「偉大な世界史的情熱」を持つことの重要性
(4)ヘーゲルの「大志・情熱」に学ぶ
(5)「大志・情熱」を生き生きとした五感情像として創出する必要がある
(6)古代ギリシャの学問の実像を明らかにするとはどういうことか
(7)学問創出には主体性、責任感が必須である
(8)ある事物事象を真に理解するためには、その歴史性をも考察しなければならない
(9)歴史を繙くことによってこそ、現在の問題を解くことが可能となる
(10)「人間は変わり得る存在である」という信念を持つことが必要である
(11)建築と言語とはどのような点で共通しているか
(12)学問への道はどのようなものか
(13)世界歴史の学びは「大志・情熱」を燃え上がらせる
(14)「大志・情熱」に加えるに「論理能力」も必要となってくる


−−−−−−−−−−−−−−−

(1)「大志・情熱」が『学城』第2号の全体を貫くキーワードである

 本ブログではこれまで、「一会員による『学城』第8号の感想」(2011年9月28日〜10月7日)から始まって、「一会員による『学城』第9号の感想」(2013年1月20日〜1月30日)、「一会員による『学城』第10号の感想」(2014年2月15日〜2月24日)、「一会員による『学城』第11号の感想」(2014年9月24日〜10月5日)、さらに一度原点に立ち返っての「一会員による『学城』第1号の感想」(2015年3月29日〜4月10日)、もう一度最新号に戻っての「一会員による『学城』第12号の感想」(2015年7月2日〜7月14日)と、日本弁証法論理学研究会編集『学城』誌を丹念に読み解き、その学的成果を自らのものとすべく、その感想を書き記す取り組みを行ってきた。

 当初は、最新刊が出るたびに感想を認める形でブログ掲載してきたのだが、第12号の感想を掲載する予定であった日までに、その号が出版されないというアクシデントがあったため、やむなくというよりつじつま合わせで第1号の感想を執筆し、その代用としたのであった。

 ところが、この原点ともいえる第1号の感想を認めるうちに、これは最新号の『学城』を本当の意味で理解して自分の実力とするためには、さらには自分の学問を自力で創出していく土台となる学問力を創り上げるためには、どうしてもこの『学城』が辿ってきた道のりをもう一度(といわずに何度も何度も)辿り返す必要があるのではないか、そのためにも、これまで感想をブログ掲載論稿の形でまとめられていない第2号から第7号までの『学城』についても、じっくりと学び直す必要があるのではないか、と思われてきたことであった。

 そこで今回は、上記の思いを決意として表すためもあって、『学城』第2号の感想を執筆していくことにする。当然、今後、順次、第3号、第4号…と感想を認めていくとともに、最新号が発刊され次第、そちらもきっちりと学んでいき、感想を述べていきたいと思う。

 さて、今回の論稿で取り上げる第2号であるが、いつものように第2号全体を貫くキーワードを考えてみて、そのキーワードを中心にして、論理展開を手繰っていくこととしたい。そのキーワードであるが、第2号全体を貫くものとして、「大志・情熱」ということがあるのではないかと思う。詳しい内容、各論文に展開される「大志・情熱」の中身については、次回以降で順次述べていく予定であるが、1つだけその根拠を示せば、巻頭言に「人類一般の大志、目的といったものへの情熱を、私たちは学問という人類最高の精神の部門へと向けることを決意し、その決意をかためて出立したのが、この『学城 ZA-KHEM,sp』である。」(p.2)とあることである。この『学城』誌は、日本弁証法論理学研究会の先生方の大いなる「大志・情熱」に溢れているのであって、論じられている中身もさることながら、その「大志・情熱」をも感じ取って学ばなければならないのである。

 では、我々京都弁証法認識論研究会にとって、学問の創出を目指す上で、「大志・情熱」というのは一体どういう意味があることなのであろうか。ここをしっかりと確認しておく必要がある。それは、以前本ブログに掲載した以下の文章を読んでいただくことで確認しておきたいと思う。

「まずは、学問への道をまともに歩んでいけるために決定的に重要な条件について確認しておかねばなりません。それは、端的には、大志・情熱・誇りをしっかり把持することにほかなりません。より具体的には、自分の人生を大きく人類の歴史のなかに位置づけて、自分が専門とする領域の文化遺産を自分の力で一歩でも二歩でも発展させていくという大志をもち、その大志の実現にむかって情熱を燃やしながら歩んでいくという自分のあり方に誇りをもたなければならない、ということなのです。仮にこの大志・情熱・誇りを欠いてしまうならば、どんなにすばらしい本をどれだけたくさん読んだとしても、すべて無意味になってしまうというくらいに、これは決定的な条件であるといわなければなりません。」(2011年4月26日掲載、「新大学生に説く「文献・何をいかに読むべきか」(1/7)」)

 ここで述べているように、「大志・情熱」、さらには誇りというものは、学問への道をまともに歩んでいくための決定的な前提条件である、ということである。これなしでは、学問の創出など全く不可能といっていいくらい大切なものなのである。

 であるからこそ、この第2号にしっかりと学ぶことによって、「大志・情熱」の大事性を再確認するとともに、先生方の「大志・情熱」をもしっかりと受け取って、自らの「大志・情熱」を燃え上がらせたいと思うわけである。

 では今回の最後に、『学城』第2号の全体の目次を以下にお示ししておく。

学城 ( ZA-KHEM,sp ) 第2号


◎南郷継正  巻 頭 言
        ―「学問とは何か」を問える学者なき時代を憂いて

◎近藤成美  マルクス「国家論」の原点を問う(2)
        ―ヘーゲルから継承した市民社会と国家の
         二重性について

◎加納哲邦  学的国家論への序章(2)
        ―滝村国家論を問う

◎本田克也  エンゲルス 『フォイエルバッハ論』 にみる、
               ヘーゲル哲学の真の学問的意義とは
        ―自然科学の新時代はいかにして拓かれたか

◎悠季真理  古代ギリシャの学問とは何か(2)

◎悠季真理  古代ギリシャ哲学、その学び方への招待(2)

◎P江千史  「医学原論」 講義 (第2回)
        ―時代が求める医学の復権

◎諸星史文  学問形成のために問う医学の歴史(2)
        ―医学史とは何か

◎小田康友  日本近代医学教育百五十年の歴史を問う
        ―医学教育論序説

◎北嶋  淳  人間一般から説く障害児教育とは何か

◎横田政夫  近代建築運動における機能主義重視の欠陥
        ―機能主義とは何か

◎井上真紀  施身聞偈(悟りへの道を考える)

◎田熊叢雪  現代武道を問う 〔T〕 ―居合とは何か(2)

◎南郷継正  武道哲学講義 〔T〕 PART3
        ―学問としての 「世界歴史」 とはなにか

◎悠季真理  編集後記

 次回以降、順次各論文の感想を認めていくが、その際、この第2号全体を貫く「大志・情熱」というテーマを常に念頭において、論を展開していくこととする。なお、連載回数の都合により、本稿では田熊叢雪「現代武道を問う〔T〕 ―居合とは何か(2)」を取り上げることができないことを予めご了承いただきたい。
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 ・2015年6月例会報告:ヘーゲル『哲学史』エレア派〜ヘラクレイトス
 ・何故言語学の創出が必要か―一会員による2015年上半期の振り返り
 ・事実と論理ののぼりおり――一会員による『医学教育 概論(5)』の感想
 ・夏目漱石を読むC――彼岸過迄、行人、こころ
 ・2015年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』エムペドクレス〜アナクサゴラス
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 ・デューイ教育論の歴史的意義を問う―『民主主義と教育』をとおして
 ・2015年8月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ソフィスト派・ソクラテス
 ・アダム・スミス『法学講義』を読む
 ・学問上達論とは何か――一会員による『哲学・論理学研究(1)』の感想
 ・2015年9月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ソクラテス派、プラトン
 ・庄司和晃追悼論文―庄司和晃の歩みはいかなるもので、何を成し遂げたか
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』第1部第4章の要約
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 ・フロイト『精神分析入門』を読む(下)
 ・夏目漱石を読むD――道草、明暗
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 ・文法家列伝:時枝誠記編(補論)
 ・英語教育改革を問う―『英語化は愚民化』書評―
 ・2015年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレスの形而上学,自然哲学
 ・2年間の育児を振り返る
 ・2015年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレス(精神の哲学・論理学)
 ・年頭言:歴史的岐路における道標としての学問の創出を目指して
 ・安保法制をめぐる議論から日本の課題を問う
 ・図式化にはどのような効用があるのか
 ・看護師と臨床心理士に共通した学び方――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(2)』の感想
 ・2016年1月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ストア派の哲学、エピクロスの哲学
 ・ケネー『経済表』を読む
 ・SSTを技化の論理で説く
 ・一会員による『学城』第13号の感想
 ・2016年2月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新アカデメイア派、スケプシス派
 ・心理士教育はいかにあるべきか――一会員による『医学教育 概論(6)』の感想
 ・仮説実験授業を問う―アクティブ・ラーニングの観点から―
 ・一会員による『学城』第3号の感想
 ・新大学生に与える
 ・2016年3月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新プラトン派
 ・6年目教師としての1年間を実践記録で振り返る―学級崩壊への過程を説く
 ・2016年4月例会報告:ヘーゲル『哲学史』中世哲学序論〜スコラ哲学
 ・専門家のあり方を問う――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(3)』の感想
 ・比較言語学誕生の歴史的必然性を問う
 ・『吉本隆明の経済学』を読む
 ・2016年5月例会報告:ヘーゲル『哲学史』学問の復興
 ・ブリーフセラピーを認識論的に説く
 ・夏目漱石の思想を問う
 ・コメニウスの歴史的意義を問う―『大教授学』をとおして
 ・オバマ米大統領の「広島演説」を問う
 ・2016年6月例会報告:ヘーゲル『哲学史』近代哲学の黎明
 ・心理士の上達に必須の条件――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(4)』の感想
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 ・2016年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』デカルト・スピノザ
 ・改訂版・観念的二重化への道
 ・ロックの教育論から何を学ぶべきか
 ・文法家列伝:ソシュール編
 ・2016年8月例会報告:ヘーゲル『哲学史』「悟性形而上学」第二部・第三部
 ・どうすれば科学的な実践が可能となるか――一会員による『科学的な看護実践とは何か(上)』の感想
 ・夏目漱石『明暗』の構造と結末を問う
 ・ルソーの教育論の歴史的意義を問う
 ・2016年9月例会報告:ヘーゲル『哲学史』バークリー〜ドイツの啓蒙思潮
 ・高校生に説く立憲主義の歴史
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』を読む
 ・2016年10月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ヤコービ、カント
 ・専門家教育には何が必要か――一会員による『科学的な看護実践とは何か(下)』の感想
 ・アダム・スミス『国富論』を読む
 ・2016年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』フィヒテ,シェリング,結語
 ・3年間の育児を振り返る
 ・近代教育学の成立過程を概観する
 ・2016年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』のまとめ
 ・年頭言:機関誌の発刊を目指して
 ・激動する世界情勢を問う
 ・『障害児教育の方法論を問う』から何を学ぶべきか―一会員による感想
 ・一会員による『学城』第4号の感想
 ・2017年1月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』、ヘーゲル『哲学史』におけるカント『純粋理性批判』
 ・斎藤公子の保育実践とその背景を問う
 ・認識の形成がうまくいくための条件とは何か?――一会員による『“夢”講義(1)』の感想
 ・本来の科学的な教育とは何か
 ・2017年2月例会報告:カント『純粋理性批判』序文
 ・システムズアプローチを弁証法から説く
 ・一会員による『学城』第14号の感想
 ・ルソー『学問芸術論』を読む
 ・新大学生に説く「大学では何を如何に学ぶべきか」
 ・2017年3月例会報告:カント『純粋理性批判』緒言
 ・斉藤喜博から何を学ぶべきか
 ・重層弁証法を学ぶ――一会員による『“夢”講義(2)』の感想
 ・小中一貫教育を問う
 ・ヘーゲル『哲学史』を読む
 ・2017年4月例会報告: カント『純粋理性批判』先験的感性論
 ・文法家列伝:宮下眞二編
 ・改訂版 心理療法における外在化の意義を問う
 ・マルクス思想の原点を問う
 ・2017年5月例会報告:カント『純粋理性批判』先験的論理学の構想その他
 ・弁証法が技化した頭脳活動を味わう――一会員による『“夢”講義(3)』の感想
 ・教育の政治的中立性を問う
 ・日本経済の歴史を概観する
 ・2017年6月例会報告:カント『純粋理性批判』純粋悟性概念の演繹
 ・一会員による『学城』第15号の感想
 ・改訂版 続・心理療法における外在化の意義を問う
 ・2017年7月例会報告:カント『純粋理性批判』原則の分析論 緒言〜第2章第3節2
 ・ルソー『人間不平等起原論』の歴史的意義を問う
 ・夢の解明に必須の学問を学ぶ――一会員による『“夢”講義(4)』の感想
 ・ヒュームの経済思想――『政治論集』を読む
 ・現代日本の政治家の“失言”を問う
 ・2017年8月例会報告:カント『純粋理性批判』経験の類推
 ・障害児の子育ての1年間を振り返る
 ・新しい国家資格・公認心理師を問う