2014年09月24日

一会員による『学城』第11号の感想(1/12)

目次

(1)『学城』第11号全体を貫くテーマは「原点からの辿り返し」である
(2)文章を書き続け,読み返し続ける
(3)対話を継続しなければ認識の発展はありえない
(4)原点からの生成発展を問うアタマづくりが大切である
(5)一般性から事実に問いかける
(6)自ら問題を作り,その答えを導き出していく
(7)実践においては一般論から事実を考えていくことが大切である
(8)自説に対してさまざまな立場から疑問・反論を考える
(9)原点=夢を確認し,学習プロセスを論理化する
(10)指導者として弟子の質問に答える
(11)「独りっきりの二人問答」で論理的な頭脳を創る
(12)原点の位置への戻りをくり返す正規分布図に従ったくり返しをなす


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(1)『学城』第11号全体を貫くテーマは「原点からの辿り返し」である

 『学城』第11号が2014年7月に発刊された。前号である第10号が発刊されたのが昨年の12月であるから,約半年後の発行ということになる。『綜合看護』が終刊になってしまった現在,南郷学派から真剣に学ぼうとしている我々にとっては,『学城』が年2回の発刊となったのであれば,こんなにありがたいことはない。そこで我々としては,年間のブログ掲載計画を変更して,『学城』第11号の感想を認めることにしたしだいである。

 この『学城』第11号全体を貫くテーマは,ズバリ「原点からの辿り返し」ということだと思う。すなわち,日本弁証法論理学研究会が,どのようにしてスタートを切ったのかという原点と,そこからどのような研鑽を積み重ねていったのかというプロセスを,そして実はこれと同じことであるが,人類の学問がどのようにしてスタートを切ったのかという原点と,そこからどのようにして学問が発展していったのかというプロセスを,読者に理解させ,読者にも同じ道をたどって実力をつけてもらいたい,という狙いがあるように感じられる。これは直接に,『学城』が前号で10号という節目を迎え,今号から新たなスタートを切るにあたって,日本弁証法論理学研究会自体も,原点を見つめ直し,初心に帰って原点から辿り直していこうとされているということでもあると思った。

 原点ということでいうと,南郷継正先生による「巻頭言」には,『学城』の構想の原点である『学苑アテナ・ミネルヴァ』大学 基礎講座の内容が改めて紹介されている。我々も『武道と弁証法の理論』(三一書房)でこの内容を見た時,学問の香りが強烈に漂う壮大な体系的構想に胸を打たれ,非常にわくわくした気持ちで発刊を待ち望んだことを思い出す。まだかまだかと待ち続けていたが,2004年にようやく『学城』として発刊され,それから今年で十年もの歳月が流れたのである。

 学問構築のプロセスということについては,「編集後記」で以下のように説かれている。

「また(第11号発刊を急いだ)もう一つの理由は次世代の育成のためである。……わが研究会においては志ある若い読者のために,発刊を年二回に増やし,初学者向けの教育が可能な,いわゆる入門編となる論文も掲載したいとの思いが,以前にも増して強くなってきたからでもある。そこで今回は,医学・看護学関連の原稿で,初学者の学びに十分に資すると思われるものを中心に掲載することとした。」(p.203)


「読者諸氏には,本誌を通して,単に出来上がったそれぞれの学問分野の内実を学習するといったことではなく,各執筆者たちの学問構築へ向けての実践の過程とはいかなるものなのかをも読みとっていただけたらと願っている。」(p.204)


 ここでは,初学者向けの論文も掲載しているので,「学問分野の内実」だけではなく,「学問構築へ向けての実践の過程」をも学んでほしい旨,説かれている。すなわち,単にゴール地点である現在の高みを学ぶだけではなく,そこに至るプロセス,それもスタート地点=原点からいかなる研鑽を経て学問構築をなしてきたかのプロセスを,しっかりと読みとってほしいというのが,編集者である悠季真理先生の願いなのである。

 したがって,今回の感想では,原点からの辿り返しというテーマを念頭に,「各執筆者たちの学問構築へ向けての実践の過程とはいかなるものなのか」をしっかりと読みとるべく,各論文に取り組んでいきたいと思う。

 そして,各論文から学んだことを,我々の研鑽にどのように活かしていくべきなのかを,具体的に考えていきたいと思う。したがって,各回の最後に,簡単にでも,今後の研鑽の指針を具体的に提示するようにしたい。

 では最後に,『学城』第11号の目次を掲載しておく。次回から各論文を順番に取り上げて,「原点からの辿り返し」という観点から感想を認めていきたい。


◎南郷継正  巻頭言

◎北條翔鷹  実戦部隊飛翔隊修業の総括小論 (第1回)
          ― 1983〜1988年3月の実戦部隊飛翔隊合宿修業小論

◎神庭純子  【講演録】 看護の現在をナイチンゲールの原点に問う
          ― ナイチンゲールの発見や取り組みを現代に活かすには

◎悠季真理  哲学・論理学研究余滴 (2)

◎北嶋  淳  人間一般から説く障害児教育とは何か (5)
 志垣  司   ― 障害児教育の科学的な実践理論を問う

◎瀬江千史  「医学原論」 講義 (第9回)
          ― 時代が求める医学の復権

◎聖  瞳子  医療における理論的実践とは何か
 高遠雅志   ― 初期研修医に症例の見方,考え方の筋道を説く
 九條  静   〈第3回〉 急性A型肝炎 2
 北条  亮

◎本田克也  法医学への入門 (2)
 矢野志津枝  ― 医学生のための法医学原論
 菅野幸子

◎橋本律子  ナイチンゲールが説く看護教育を考える (4)
          ― 私が受けた准看護学校教育の実際

◎橘  美伽  「武道空手とは何か,その中で護身武道空手とはどのような
          位置づけであるべきか」 の 「小論」 をふまえた質問に答える (5)
          ― 護身武道空手への理解を深め,かつ主体的な人生を生き抜くために

◎南郷継正  武道哲学講義 〔8〕
          ― 学問とはいわば世界地図を描くことである (再説)
          (2008年冬期ゼミ講義詳説)

◎悠季真理  編集後記
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 ・『秘密諜報員ベートーヴェン』から何を学ぶか
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 ・佐村河内守『交響曲第一番』
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 ・このブログの目的とは――毎日更新50日目を迎えて
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 ・道徳教育の観点から見る中世の教育と教育思想
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 ・文法家列伝:ジョン・ロック編
 ・一会員による『学城』第11号の感想
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 ・2014年9月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』第41〜43章
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 ・アダム・スミスは『修辞学・文学講義』で何を論じたか
 ・全てを強烈な目的意識に収斂させる――一会員による『医学教育概論の実践』の感想
 ・2014年10月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』第44〜45章
 ・精神障害の弁証法的分類へ向けた試み
 ・シュリーマン『古代への情熱』から何を学ぶか
 ・2014年11月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』第46章
 ・一年間の育児を振り返る
 ・近代ドイツにおける教育学の流れを概観する
 ・2014年12月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』のまとめ
 ・年頭言:弁証法・認識論を武器に学問の新たな段階を切り開く
 ・「戦後70年」を迎える日本をどうみるか
 ・哲学の歴史の流れを概観する
 ・『ビリギャル』から何を学ぶべきか
 ・必要な事実を取り出すとは――一会員による『医学教育 概論(2)』の感想
 ・2015年1月例会報告:南郷継正「武道哲学講義X」
 ・夏目漱石を読むA――二百十日、野分、虞美人草、坑夫
 ・アダム・スミスは古代ギリシャ哲学史から何を学んだのか
 ・マインドフルネスを認識論的に説く
 ・道徳思想の歴史を概観する
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』第1部の要約
 ・弁証法的に学ぶとはいかなることか――一会員による『医学教育 概論(3)』の感想
 ・一会員による『学城』第1号の感想
 ・新大学生への訴え
 ・2015年3月例会報告:ヘーゲル『哲学史』哲学史の序論A
 ・心理職の国家資格化を問う
 ・5年目教師としての1年間を実践記録で振り返る
 ・文法家列伝:時枝誠記編
 ・2015年4月例会報告:ヘーゲル『哲学史』哲学史の序論B、C、東洋哲学
 ・夏目漱石を読むB――三四郎、それから、門
 ・臨床心理学のあるべき姿を考える――一会員による『医学教育 概論(4)』の感想
 ・アダム・スミス「模倣芸術論」を読む
 ・デューイの教育論の歴史的な意義を問う―『学校と社会』を通して
 ・2015年5月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ギリシア哲学史の序論、イオニア派の哲学、ピュタゴラスとピュタゴラス派
 ・高木彬光『邪馬台国の秘密』を認識論から読み解く
 ・一会員による『学城』第12号の感想
 ・2015年6月例会報告:ヘーゲル『哲学史』エレア派〜ヘラクレイトス
 ・何故言語学の創出が必要か―一会員による2015年上半期の振り返り
 ・事実と論理ののぼりおり――一会員による『医学教育 概論(5)』の感想
 ・夏目漱石を読むC――彼岸過迄、行人、こころ
 ・2015年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』エムペドクレス〜アナクサゴラス
 ・フロイト『精神分析入門』を読む(上)
 ・デューイ教育論の歴史的意義を問う―『民主主義と教育』をとおして
 ・2015年8月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ソフィスト派・ソクラテス
 ・アダム・スミス『法学講義』を読む
 ・学問上達論とは何か――一会員による『哲学・論理学研究(1)』の感想
 ・2015年9月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ソクラテス派、プラトン
 ・庄司和晃追悼論文―庄司和晃の歩みはいかなるもので、何を成し遂げたか
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』第1部第4章の要約
 ・一会員による『学城』第2号の感想
 ・フロイト『精神分析入門』を読む(下)
 ・夏目漱石を読むD――道草、明暗
 ・2015年10月例会報告:ヘーゲル『哲学史』プラトン 弁証法、自然哲学、精神の哲学
 ・ナイチンゲール看護論を心理臨床に活かす――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(1)』の感想
 ・文法家列伝:時枝誠記編(補論)
 ・英語教育改革を問う―『英語化は愚民化』書評―
 ・2015年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレスの形而上学,自然哲学
 ・2年間の育児を振り返る
 ・2015年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレス(精神の哲学・論理学)
 ・年頭言:歴史的岐路における道標としての学問の創出を目指して
 ・安保法制をめぐる議論から日本の課題を問う
 ・図式化にはどのような効用があるのか
 ・看護師と臨床心理士に共通した学び方――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(2)』の感想
 ・2016年1月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ストア派の哲学、エピクロスの哲学
 ・ケネー『経済表』を読む
 ・SSTを技化の論理で説く
 ・一会員による『学城』第13号の感想
 ・2016年2月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新アカデメイア派、スケプシス派
 ・心理士教育はいかにあるべきか――一会員による『医学教育 概論(6)』の感想
 ・仮説実験授業を問う―アクティブ・ラーニングの観点から―
 ・一会員による『学城』第3号の感想
 ・新大学生に与える
 ・2016年3月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新プラトン派
 ・6年目教師としての1年間を実践記録で振り返る―学級崩壊への過程を説く
 ・2016年4月例会報告:ヘーゲル『哲学史』中世哲学序論〜スコラ哲学
 ・専門家のあり方を問う――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(3)』の感想
 ・比較言語学誕生の歴史的必然性を問う
 ・『吉本隆明の経済学』を読む
 ・2016年5月例会報告:ヘーゲル『哲学史』学問の復興
 ・ブリーフセラピーを認識論的に説く
 ・夏目漱石の思想を問う
 ・コメニウスの歴史的意義を問う―『大教授学』をとおして
 ・オバマ米大統領の「広島演説」を問う
 ・2016年6月例会報告:ヘーゲル『哲学史』近代哲学の黎明
 ・心理士の上達に必須の条件――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(4)』の感想
 ・夏目漱石の中・長編小説を読む
 ・2016年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』デカルト・スピノザ
 ・改訂版・観念的二重化への道
 ・ロックの教育論から何を学ぶべきか
 ・文法家列伝:ソシュール編
 ・2016年8月例会報告:ヘーゲル『哲学史』「悟性形而上学」第二部・第三部
 ・どうすれば科学的な実践が可能となるか――一会員による『科学的な看護実践とは何か(上)』の感想
 ・夏目漱石『明暗』の構造と結末を問う
 ・ルソーの教育論の歴史的意義を問う
 ・2016年9月例会報告:ヘーゲル『哲学史』バークリー〜ドイツの啓蒙思潮
 ・高校生に説く立憲主義の歴史
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』を読む
 ・2016年10月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ヤコービ、カント
 ・専門家教育には何が必要か――一会員による『科学的な看護実践とは何か(下)』の感想
 ・アダム・スミス『国富論』を読む
 ・2016年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』フィヒテ,シェリング,結語
 ・3年間の育児を振り返る
 ・近代教育学の成立過程を概観する
 ・2016年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』のまとめ
 ・年頭言:機関誌の発刊を目指して
 ・激動する世界情勢を問う
 ・『障害児教育の方法論を問う』から何を学ぶべきか―一会員による感想
 ・一会員による『学城』第4号の感想
 ・2017年1月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』、ヘーゲル『哲学史』におけるカント『純粋理性批判』
 ・斎藤公子の保育実践とその背景を問う
 ・認識の形成がうまくいくための条件とは何か?――一会員による『“夢”講義(1)』の感想
 ・本来の科学的な教育とは何か
 ・2017年2月例会報告:カント『純粋理性批判』序文
 ・システムズアプローチを弁証法から説く
 ・一会員による『学城』第14号の感想
 ・ルソー『学問芸術論』を読む
 ・新大学生に説く「大学では何を如何に学ぶべきか」
 ・2017年3月例会報告:カント『純粋理性批判』緒言
 ・斉藤喜博から何を学ぶべきか
 ・重層弁証法を学ぶ――一会員による『“夢”講義(2)』の感想
 ・小中一貫教育を問う
 ・ヘーゲル『哲学史』を読む