2013年09月16日

一会員による『綜合看護』2013年3号の感想(1/5)

(1)『綜合看護』2013年3号の内容

 8月21日に,例によって目次の前に黄色の小さな「本誌,終刊のお知らせ」という紙の挟まった『綜合看護』が届いた。本号も含めて,残すところ,あと2号である。

 まず目次を眺めてみると,いつもの瀬江論文がないことに気が付いた。どうしたことだろうと思いながら,最後のページの「編集覚え書」を読むと,以下のような説明があった。

「今回,瀬江千史先生の「看護のための生理学」はお休みです。次号でまた,ご執筆いただきます。」


 今まで連載の途中でお休みになったことがあっただろうか。少なくとも記憶にはない。次号で終刊ということと何か関係があるのかもしれないなどと考えながら,いつものようにパラパラとページをめくり,全体に目を通した。

 本誌の連載論文がもとになっている『初学者のための『看護覚え書』』と『医学教育 概論』の宣伝のページが目に入った。そういえば両者とも,『綜合看護』の連載論文を読んで,そのあと単行本が出版されるたびに購入して一読したくらいで,しっかりと読み込むことができていなかったように思う。『綜合看護』が今年で終刊になるのは非常に残念だが,来年からは『綜合看護』の代わりにこれらの単行本をしっかり読み込んでいきたいと思った。しっかり読み込むためにも,また,しっかり読んだ証を残すためにも,『綜合看護』の感想に代わって,本ブログに感想文を掲載していくことも検討したい。

 特に『医学教育 概論』は,専門家教育という点で非常に示唆的であると考えられる。最近筆者自身が取り組んでいるカウンセリング上達論にも,多大な影響を与えてくれそうである。また,『初学者のための『看護覚え書』』は,実際にナイチンゲールの『看護覚え書』とともに読んでいけば,自らの心理臨床の実践にも役に立つと確信している。最低でも2ヵ月に1冊くらいのペースで感想文を認めていこうという構想が膨らんできた。

 さて,今回もいつものように,まず取り上げるべき論文のリード文と,私が仮につけた見出しを紹介したい。次回以降は,論文を一つずつ取り上げて,その感想を綴っていくこととする。



神庭純子「初学者のための『看護覚え書』(38)」

今回は,前回取り上げた地域における育児支援の実践について,その支援の意味や看護者の視点について説く。続いて『看護覚え書』の「補章 看護師とは何か」を取り上げる。この中で,ナイチンゲールは,看護師がどのような姿勢で観察し,看護し続けなければならないかを説いている。

(1)子どもの生活環境を創り上げるのは母親である
(2)認識論の実力がなければ適切な支援はできない
(3)現実の生活の中に支援のヒントがある
(4)生活・身体状況や語りの中に観念的二重化のヒントがある
(5)他人の感情のただなかへ自己を投入する
(6)「病人」は個としての認識を持っている
(7)病人の変化を観察しその意味を理解すべき



橋本律子「ナイチンゲールの説く看護教育を考える(2)」

M准看護学校に入学して,規律が厳しすぎることを痛感する橋本氏であったが,さまざまな行事をとおして,その厳しさは「学生たちがまともな看護師になるため」という論理で貫かれた看護教育としての指導であり,この学校の教育内容は誇るべきものであると思えるようになった。

(1)私服登校が先生方に発覚する
(2)制服登校を宣言し実行する
(3)汗が体温を奪うことを体験する
(4)健康のためには身体を「温かい」状態にしておく
(5)自分の事実・五感情像で看護一般論を考え実践する
(6)継続的な作文で立派な看護師像を創る
(7)ナイチンゲールは論理的には読まれていない
(8)実際の像がないまま手順書を作成する
(9)終業式では「努力賞」の表彰が行われる
(10)ウォークラリーの服装に指導が入る
(11)教育方針の違いが学生の意識に差を生じさせる
(12)戴帽式のために「ナイチンゲール誓詞」の朗誦を練習する
(13)盛大で幻想的で厳粛な戴帽式
(14)先生方の見送りに感激・感動する
(15)前回の小論に関わってのエピソード



瀬江千史・本田克也他「次世代を担う看護学生・医学生への医学概論教育 講座(42)」

今回は,腎臓病の完成形態である腎不全を学ぶことを通して,そもそも腎臓病とは何か,なぜ腎臓が病むのかを考える。腎臓病に関わるすべての事実を腎臓病の論理へとつなげる形で学んでいけば,膨大な教科書の知識もそれなりに整序されて,頭に入ることを実感できるようになる。

(1)これまでの振り返り
(2)現状では病型分類しかできない
(3)腎臓病の完成形態である腎不全をまず学ぶ
(4)細胞と外界との相互浸透は二重構造
(5)大量の血液循環が腎臓の選別を支えている
(6)腎不全とは選別機能障害で体液まで歪んでしまった状態
(7)腎不全へと至る過程を整序して学ぶ
(8)血液の歪みが過度の選別を強いる
(9)病気は機能レベルで把握し実体レベルへ発展させない
(10)腎臓の生理構造に基づいて体系的に学ぶ
(11)国家試験の弊害のため細かい知識を暗記せざるをえない


北条亮「Der Weg zur Wissenschaft(6)」

(1)体調を崩して入院した
(2)患者の認識を理解するには四重構造で考えねばならない
(3)体調が悪く,感情的な問いかけをしてしまった
(4)患者は元気な時と違う認識でいる
(5)「自分の自分化」と「自分の他人化」の違い



南郷継正「なんごう つぐまさが説く看護学科・心理学科学生への“夢”講義(59)」

前回から,学問的世界あるいは理論的世界へ足を踏み入れたいと志している方々へ,学び方のプロローグを説き始めたが,南郷氏自身の学びの実態に関する具体的な事柄はなかなか理解するのが難しいので,まず,学びの実態をしっかりつかんでもらうために,弟子の一人の感想文を引用する。

はじめに:『「いのちの歴史」の物語』が入試問題に出題された
(1)前回の振り返り
(2)弟子の感想文:学問論理の二重構造
(3)恩師滝村隆一に学んだ中身
(4)哲学上の実力とはを分かるためのヒント
(5)概念についてのエンゲルスの論理は不可解

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 ・必要な事実を取り出すとは――一会員による『医学教育 概論(2)』の感想
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 ・デューイの教育論の歴史的な意義を問う―『学校と社会』を通して
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 ・2015年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』エムペドクレス〜アナクサゴラス
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 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』第1部第4章の要約
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 ・フロイト『精神分析入門』を読む(下)
 ・夏目漱石を読むD――道草、明暗
 ・2015年10月例会報告:ヘーゲル『哲学史』プラトン 弁証法、自然哲学、精神の哲学
 ・ナイチンゲール看護論を心理臨床に活かす――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(1)』の感想
 ・文法家列伝:時枝誠記編(補論)
 ・英語教育改革を問う―『英語化は愚民化』書評―
 ・2015年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレスの形而上学,自然哲学
 ・2年間の育児を振り返る
 ・2015年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレス(精神の哲学・論理学)
 ・年頭言:歴史的岐路における道標としての学問の創出を目指して
 ・安保法制をめぐる議論から日本の課題を問う
 ・図式化にはどのような効用があるのか
 ・看護師と臨床心理士に共通した学び方――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(2)』の感想
 ・2016年1月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ストア派の哲学、エピクロスの哲学
 ・ケネー『経済表』を読む
 ・SSTを技化の論理で説く
 ・一会員による『学城』第13号の感想
 ・2016年2月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新アカデメイア派、スケプシス派
 ・心理士教育はいかにあるべきか――一会員による『医学教育 概論(6)』の感想
 ・仮説実験授業を問う―アクティブ・ラーニングの観点から―
 ・一会員による『学城』第3号の感想
 ・新大学生に与える
 ・2016年3月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新プラトン派
 ・6年目教師としての1年間を実践記録で振り返る―学級崩壊への過程を説く
 ・2016年4月例会報告:ヘーゲル『哲学史』中世哲学序論〜スコラ哲学
 ・専門家のあり方を問う――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(3)』の感想
 ・比較言語学誕生の歴史的必然性を問う
 ・『吉本隆明の経済学』を読む
 ・2016年5月例会報告:ヘーゲル『哲学史』学問の復興
 ・ブリーフセラピーを認識論的に説く
 ・夏目漱石の思想を問う
 ・コメニウスの歴史的意義を問う―『大教授学』をとおして
 ・オバマ米大統領の「広島演説」を問う
 ・2016年6月例会報告:ヘーゲル『哲学史』近代哲学の黎明
 ・心理士の上達に必須の条件――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(4)』の感想
 ・夏目漱石の中・長編小説を読む
 ・2016年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』デカルト・スピノザ
 ・改訂版・観念的二重化への道
 ・ロックの教育論から何を学ぶべきか
 ・文法家列伝:ソシュール編
 ・2016年8月例会報告:ヘーゲル『哲学史』「悟性形而上学」第二部・第三部
 ・どうすれば科学的な実践が可能となるか――一会員による『科学的な看護実践とは何か(上)』の感想
 ・夏目漱石『明暗』の構造と結末を問う
 ・ルソーの教育論の歴史的意義を問う
 ・2016年9月例会報告:ヘーゲル『哲学史』バークリー〜ドイツの啓蒙思潮
 ・高校生に説く立憲主義の歴史
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』を読む
 ・2016年10月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ヤコービ、カント
 ・専門家教育には何が必要か――一会員による『科学的な看護実践とは何か(下)』の感想
 ・アダム・スミス『国富論』を読む
 ・2016年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』フィヒテ,シェリング,結語
 ・3年間の育児を振り返る
 ・近代教育学の成立過程を概観する
 ・2016年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』のまとめ
 ・年頭言:機関誌の発刊を目指して
 ・激動する世界情勢を問う
 ・『障害児教育の方法論を問う』から何を学ぶべきか―一会員による感想
 ・一会員による『学城』第4号の感想
 ・2017年1月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』、ヘーゲル『哲学史』におけるカント『純粋理性批判』
 ・斎藤公子の保育実践とその背景を問う
 ・認識の形成がうまくいくための条件とは何か?――一会員による『“夢”講義(1)』の感想
 ・本来の科学的な教育とは何か
 ・2017年2月例会報告:カント『純粋理性批判』序文
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 ・ルソー『学問芸術論』を読む
 ・新大学生に説く「大学では何を如何に学ぶべきか」
 ・2017年3月例会報告:カント『純粋理性批判』緒言
 ・斉藤喜博から何を学ぶべきか
 ・重層弁証法を学ぶ――一会員による『“夢”講義(2)』の感想
 ・小中一貫教育を問う
 ・ヘーゲル『哲学史』を読む