(1)読むほどに論理の威力を思い知らされる雑誌
(2)ナイチンゲールからの学びは心理臨床に活かせる
(3)大学の部(サークル)活動は小社会そのものである
(4)個体発生は系統発生を重層的にくり返す
(5)自閉症の謎を解くには
(1)読むほどに論理の威力を思い知らされる雑誌
『綜合看護』2012年1号が届いた。今回もまた,おそるべき内容に唸りっぱなしであった。ある時は感動で胸がいっぱいになり,ある時は頭の中がこれまでにないくらいに非常にクリアーになり,ある時はその論理展開に身震いし,ある時は非常にワクワクする。端的にいえば,読めば読むほど論理の威力を思い知らされる,そんな雑誌であるといえる。
今回は一読した後,線を引きながら丁寧に読み込み,各項目ごとに端的な見出しを付けていった。その上で,自分が感想として取り上げたいことを絞り込み,感想を書いていくことにした。
以下,本稿で取り上げる論文名と編集部によるリード文,それに筆者が付した項目ごとの見出しを掲載する。これでおおよそ,どのような内容が説かれているか判断できると思う。
次回以降は,各回に一つの論文を取り上げ,まず論文名とリード文,それに筆者が付した見出しを再掲した後に,焦点を絞って感想を記していくことにする。
神庭純子「初学者のための『看護覚え書』(32)」
地域で暮らす人々が自らの生活を整える力を持っていることに気づき,互いに育ち合い,家族や地域を創り上げていく力を引き出し支えることが地域看護の一つの意義である。今回は,どのようにしたらナイチンゲールの教えを現代の看護の現実に活かせるか,地域で出会った事例を基に考えていく。
(1)前回の振り返り
(2)看護の視点を伝えることは地域看護の一つの意義である
(3)事例@:喘息で寝たきりのAさん
(4)自ら整える力を引き出すことにつなげる
(5)事例A:排泄のコントロールがうまくいかないBさん
(6)無用な痛みや苦悩から解放するのが看護の力である
(7)ナイチンゲールからの学びはさまざまな地域生活に生かせる
瀬江千史・本田克也他「次世代を担う看護学生・医学生への医学概論教育 講座(36)」
前回まで,代表的な教科書の内容の変遷を取り上げ,教科書に見る文化遺産の論理化面の後退が,学生に膨大な知識の暗記を強い,医師としての医療実践の質の低下をもたらすことを検証してきた。今回は慢性腎臓病を取り上げる。初期研修医のための症例検討は「研修医の質問に答える(2)」。
(1)社会的に鍛えられる機会をどう設定すべきか
(2)部活動は小社会そのものだから社会的に鍛えられる可能性を持つ
(3)前回の振り返り
(4)事実レベルの進歩と学的レベルの進歩は次元が違う
(5)慢性腎臓病は病気のとらえ方としては大いなる発展である
(6)透析患者数抑制のために慢性腎臓病が導入された
(7)腎臓病の病名は複雑であった
(8)腎臓病の進行過程はなかなか現象しない
(9)慢性腎臓病の導入で容易に腎臓病を診療できるようになった
(10)〈症例検討〉は『学城』連載へ
初期研修医のための症例検討〈第6回〉
(1)前回の振り返り
(2)AからBの過程とAに至る個性的過程がある
(3)まずは正常な生理構造をおさえる
(4)過程をふまえてこそ治療の指針がみえてくる
(5)どのような病気も〔図1〕で把握できる
瀬江千史「看護のための生理学(41)」
人間が運動形態の多様性をもつためには,赤ん坊が誕生してから二足で立ち,歩くようになるまでの育て方が重要である。運動形態を発展させるために,赤ん坊が誕生してからどのような育て方をしなければならないか,まず「泣くこと」「オッパイを飲むこと」について具体的に説く。
(1)原点から理解しなければ人間にとっての運動はわからない
(2)前回までの振り返り:人間に至るまでの生命体の運動の発展
(3)人間は認識によって対象にみあった運動形態を無限に創造できる
(4)人間は育てなければ育たない=育てたように育つ
(5)人間として育てなければ二足歩行すらできない
(6)歩くようになるまでの育て方は生命の歴史を指針として
(7)人間は誕生後,機能として系統発生を繰り返させなければならい
(8)生まれたばかりの赤ん坊はきちんと泣かせるべきである
(9)オッパイを飲むという重労働はがんばる気持ちをも育てていく
南郷継正「なんごう つぐまさが説く看護学科・心理学科学生への“夢”講義(53)」
今回は,アルツハイマー病や自閉症といった人間の脳についての記事を2つ紹介し,その内容のレベルの低さに日本の学問力を憂い,南郷氏が学力に関して辛い思いをして育った思春期・青春期からどのようにして学問の粋をしっかり学びとっていったか,自らの学問への道を説いてゆく。
(1)第1部最終回は「私の学問への道」のダイジェスト版である
(2)私は生来の怠け続け人であった
(3)私は山桜を自分に擬しながらも,八重桜のような未来に憧れた
(4)私は「学問としての弁証法」の学びをなした
(5)私は『学生に与う』『哲学以前』を心の炎として燃やし続けた
(6)『学城』「巻頭言」は新世紀に生きる人々への提言である
(7)“夢”講義第2部では認識の病への過程的構造を説く
(8)次号までに『新・頭脳の科学』を読むように