2011年07月08日

2011年5・6月例会報告:南郷継正「武道哲学講義〔X〕」読書会(1/10)

〈目次〉

(1)「武道哲学講義〔X〕」はどういう講義か
(2)「武道哲学講義〔X〕」の要約1
(3)「武道哲学講義〔X〕」の要約2
(4)「武道哲学講義〔X〕」の要約3
(5)「武道哲学講義〔X〕」の要約4
(6)参加者から出された論点
(7)論点1・哲学なるものがあるという理解はどう誤っているのか
(8)論点2・高貴の画廊,阿呆の画廊とは
(9)論点3・論理の段階を読み取る能力とは
(10)参加者の感想


(1)「武道哲学講義〔X〕」はどういう講義か

 今回の例会では,2ヵ月間にあたって1つのテキストを扱いました。扱ったテキストは,南郷継正「武道哲学講義〔X〕」(『南郷継正 武道哲学 著作・講義全集 第八巻』所収)です。本稿では,2ヵ月分をまとめて報告します。

 「武道哲学講義〔X〕」は,『全集』第三巻「哲学・論理学への道」の予告編としての内実を持っているということです。そして,哲学の入門書が欲しいと願う人々を対象として説かれた講義です。

 まずは目次を掲載しておきます。

■ 武道哲学講義 X
 
東京大学学生に説く,『哲学・論理学への道 序説 ( 『全集』 第3巻入門編 )』
―ヘーゲルは『哲学史』において,果たして何を説きたかったのか
 
哲学とは,そして哲学史とは何か
―学問を志す学徒へ,学問としての哲学の構造を説く
 
【 第1部 】
 
 (1) プロローグ
 (2) 『哲学以前』は何を学ばせたのか
 (3) 私の学問への憧れ
 (4) 「哲学上の実力」とは何かを問う(『全集』第1巻の解説)
 (5) 学問体系→世界観としての観念論と唯物論
 (6) 観念論と唯物論をクロスさせるとは(『全集』第1巻の解説)
 (7) 弁証法とは何かを学問レベルで説く
 (8) ヘーゲルの説く哲学史の構造とは
 (9) 高貴そして阿呆の画廊とは(ヘーゲルが『哲学史』で説きたかった事)
 (10)ヘーゲルは阿呆の画廊を解ききれていない
 (11)本編は冒頭(1),(2),(3)の続編である
 (12)ヘーゲル「就任挨拶」の偉大性の論理を説く
 
【 第2部 】
 
 (1) ヘーゲル曰く,「哲学は学問への入口である。それゆえ,入口で遊んでいる時ではない」
 (2) エンゲルスはヘーゲルの弁証法を法則化・公式化した
 (3) ヘーゲル自身の使った言葉は果たして難しかったのか
 (4) 数学の原語とは(数学の起源について)
 (5) 哲学なるものがあるという理解は誤りである
 (6) 哲学(フィロソフィア)とは何か
 (7) 歴史上のフィロソフィアとは
 (8) 英語には学問という言葉自体がない
 (9) 「ドイツ語学修」の重要性
 (10)疎外(Entfremdung)とは何か
 (11)私の高校時代の一つ「弁証法との出合い」
 (12)弁証法と武道空手の双方の修行こそが私の成功への道であった
 (13)ヘーゲルの『哲学史』とは
 (14)哲学史の実体と,それを解明できる実力の養成とは



 見ていただければ分かるように,本講義ではヘーゲルの『哲学史』が正面から取り上げられています。そして,ヘーゲルが説きたかったけれども解ききれなかったことをも、しっかりと説かれていくであろうことも読み取れます。

 第1部,第2部と分かれていますが,これに関しては第1部が少し難解で,第2部は程々に易しく講義してあるということです。もう少しいうと,第1部は「世界最高峰の学問文化を築くために学ぶべき大事な学問として,人類文化最高の歴史形態である『哲学の歴史のための序論』を,天下の東京大学の学生に向けてでありながら学生達の実力(学問力としての)を全く考慮の外にして,あえて哲学専攻の研究生に講義するレベルで,まともに序説としての内容をしっかりと講義したもの」(『全集』第八巻,p.24)です。これに対して第2部は,「第一部の内容を大学一年生を対象として,高校生に語るレベルの易しさでの講義」(『全集』第八巻,p.25)ということです。

 内容があまりに難解であり,かつ史上最高峰の学問的高みから説かれていますので,本講義は2ヵ月に分けて討論することにしました。5月はまだ易しいとされている第2部を検討し,6月に「哲学専攻の研究生に講義するレベル」という第1部を扱うことにしました。

 本稿ではまず,本講義の内容の要約を試みます。その後,参加者から出された論点を整理し,1つずつ討論の内容を紹介していきます。そして最後に,討論内容を踏まえた参加者からの感想を掲載したいと思います。
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 ・一会員による『綜合看護』2013年4号の感想
 ・一会員による2013年の振り返りと2014年の展望
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 ・2014年1月例会報告:学問(哲学)の歴史の全体像について
 ・一会員による『学城』第10号の感想
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 ・現代の言語道具説批判2――言語道具説とは何か
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 ・道徳教育の観点から見る中世の教育と教育思想
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 ・2014年8月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』第39〜40章
 ・アダム・スミス「外部感覚論」を読む
 ・文法家列伝:ジョン・ロック編
 ・一会員による『学城』第11号の感想
 ・夏目漱石を読む@――坊っちゃん、吾輩は猫である、草枕
 ・2014年9月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』第41〜43章
 ・ルソーとカントの道徳教育思想を概観する
 ・アダム・スミスは『修辞学・文学講義』で何を論じたか
 ・全てを強烈な目的意識に収斂させる――一会員による『医学教育概論の実践』の感想
 ・2014年10月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』第44〜45章
 ・精神障害の弁証法的分類へ向けた試み
 ・シュリーマン『古代への情熱』から何を学ぶか
 ・2014年11月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』第46章
 ・一年間の育児を振り返る
 ・近代ドイツにおける教育学の流れを概観する
 ・2014年12月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』のまとめ
 ・年頭言:弁証法・認識論を武器に学問の新たな段階を切り開く
 ・「戦後70年」を迎える日本をどうみるか
 ・哲学の歴史の流れを概観する
 ・『ビリギャル』から何を学ぶべきか
 ・必要な事実を取り出すとは――一会員による『医学教育 概論(2)』の感想
 ・2015年1月例会報告:南郷継正「武道哲学講義X」
 ・夏目漱石を読むA――二百十日、野分、虞美人草、坑夫
 ・アダム・スミスは古代ギリシャ哲学史から何を学んだのか
 ・マインドフルネスを認識論的に説く
 ・道徳思想の歴史を概観する
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』第1部の要約
 ・弁証法的に学ぶとはいかなることか――一会員による『医学教育 概論(3)』の感想
 ・一会員による『学城』第1号の感想
 ・新大学生への訴え
 ・2015年3月例会報告:ヘーゲル『哲学史』哲学史の序論A
 ・心理職の国家資格化を問う
 ・5年目教師としての1年間を実践記録で振り返る
 ・文法家列伝:時枝誠記編
 ・2015年4月例会報告:ヘーゲル『哲学史』哲学史の序論B、C、東洋哲学
 ・夏目漱石を読むB――三四郎、それから、門
 ・臨床心理学のあるべき姿を考える――一会員による『医学教育 概論(4)』の感想
 ・アダム・スミス「模倣芸術論」を読む
 ・デューイの教育論の歴史的な意義を問う―『学校と社会』を通して
 ・2015年5月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ギリシア哲学史の序論、イオニア派の哲学、ピュタゴラスとピュタゴラス派
 ・高木彬光『邪馬台国の秘密』を認識論から読み解く
 ・一会員による『学城』第12号の感想
 ・2015年6月例会報告:ヘーゲル『哲学史』エレア派〜ヘラクレイトス
 ・何故言語学の創出が必要か―一会員による2015年上半期の振り返り
 ・事実と論理ののぼりおり――一会員による『医学教育 概論(5)』の感想
 ・夏目漱石を読むC――彼岸過迄、行人、こころ
 ・2015年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』エムペドクレス〜アナクサゴラス
 ・フロイト『精神分析入門』を読む(上)
 ・デューイ教育論の歴史的意義を問う―『民主主義と教育』をとおして
 ・2015年8月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ソフィスト派・ソクラテス
 ・アダム・スミス『法学講義』を読む
 ・学問上達論とは何か――一会員による『哲学・論理学研究(1)』の感想
 ・2015年9月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ソクラテス派、プラトン
 ・庄司和晃追悼論文―庄司和晃の歩みはいかなるもので、何を成し遂げたか
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』第1部第4章の要約
 ・一会員による『学城』第2号の感想
 ・フロイト『精神分析入門』を読む(下)
 ・夏目漱石を読むD――道草、明暗
 ・2015年10月例会報告:ヘーゲル『哲学史』プラトン 弁証法、自然哲学、精神の哲学
 ・ナイチンゲール看護論を心理臨床に活かす――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(1)』の感想
 ・文法家列伝:時枝誠記編(補論)
 ・英語教育改革を問う―『英語化は愚民化』書評―
 ・2015年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレスの形而上学,自然哲学
 ・2年間の育児を振り返る
 ・2015年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』アリストテレス(精神の哲学・論理学)
 ・年頭言:歴史的岐路における道標としての学問の創出を目指して
 ・安保法制をめぐる議論から日本の課題を問う
 ・図式化にはどのような効用があるのか
 ・看護師と臨床心理士に共通した学び方――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(2)』の感想
 ・2016年1月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ストア派の哲学、エピクロスの哲学
 ・ケネー『経済表』を読む
 ・SSTを技化の論理で説く
 ・一会員による『学城』第13号の感想
 ・2016年2月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新アカデメイア派、スケプシス派
 ・心理士教育はいかにあるべきか――一会員による『医学教育 概論(6)』の感想
 ・仮説実験授業を問う―アクティブ・ラーニングの観点から―
 ・一会員による『学城』第3号の感想
 ・新大学生に与える
 ・2016年3月例会報告:ヘーゲル『哲学史』新プラトン派
 ・6年目教師としての1年間を実践記録で振り返る―学級崩壊への過程を説く
 ・2016年4月例会報告:ヘーゲル『哲学史』中世哲学序論〜スコラ哲学
 ・専門家のあり方を問う――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(3)』の感想
 ・比較言語学誕生の歴史的必然性を問う
 ・『吉本隆明の経済学』を読む
 ・2016年5月例会報告:ヘーゲル『哲学史』学問の復興
 ・ブリーフセラピーを認識論的に説く
 ・夏目漱石の思想を問う
 ・コメニウスの歴史的意義を問う―『大教授学』をとおして
 ・オバマ米大統領の「広島演説」を問う
 ・2016年6月例会報告:ヘーゲル『哲学史』近代哲学の黎明
 ・心理士の上達に必須の条件――一会員による『初学者のための『看護覚え書』(4)』の感想
 ・夏目漱石の中・長編小説を読む
 ・2016年7月例会報告:ヘーゲル『哲学史』デカルト・スピノザ
 ・改訂版・観念的二重化への道
 ・ロックの教育論から何を学ぶべきか
 ・文法家列伝:ソシュール編
 ・2016年8月例会報告:ヘーゲル『哲学史』「悟性形而上学」第二部・第三部
 ・どうすれば科学的な実践が可能となるか――一会員による『科学的な看護実践とは何か(上)』の感想
 ・夏目漱石『明暗』の構造と結末を問う
 ・ルソーの教育論の歴史的意義を問う
 ・2016年9月例会報告:ヘーゲル『哲学史』バークリー〜ドイツの啓蒙思潮
 ・高校生に説く立憲主義の歴史
 ・三浦つとむ『認識と言語の理論』を読む
 ・2016年10月例会報告:ヘーゲル『哲学史』ヤコービ、カント
 ・専門家教育には何が必要か――一会員による『科学的な看護実践とは何か(下)』の感想
 ・アダム・スミス『国富論』を読む
 ・2016年11月例会報告:ヘーゲル『哲学史』フィヒテ,シェリング,結語
 ・3年間の育児を振り返る
 ・近代教育学の成立過程を概観する
 ・2016年12月例会報告:ヘーゲル『哲学史』のまとめ
 ・年頭言:機関誌の発刊を目指して
 ・激動する世界情勢を問う
 ・『障害児教育の方法論を問う』から何を学ぶべきか―一会員による感想
 ・一会員による『学城』第4号の感想
 ・2017年1月例会報告:シュヴェーグラー『西洋哲学史』、ヘーゲル『哲学史』におけるカント『純粋理性批判』
 ・斎藤公子の保育実践とその背景を問う
 ・認識の形成がうまくいくための条件とは何か?――一会員による『“夢”講義(1)』の感想
 ・本来の科学的な教育とは何か
 ・2017年2月例会報告:カント『純粋理性批判』序文
 ・システムズアプローチを弁証法から説く
 ・一会員による『学城』第14号の感想
 ・ルソー『学問芸術論』を読む
 ・新大学生に説く「大学では何を如何に学ぶべきか」
 ・2017年3月例会報告:カント『純粋理性批判』緒言
 ・斉藤喜博から何を学ぶべきか
 ・重層弁証法を学ぶ――一会員による『“夢”講義(2)』の感想
 ・小中一貫教育を問う
 ・ヘーゲル『哲学史』を読む
 ・2017年4月例会報告: カント『純粋理性批判』先験的感性論
 ・文法家列伝:宮下眞二編
 ・改訂版 心理療法における外在化の意義を問う
 ・マルクス思想の原点を問う
 ・2017年5月例会報告:カント『純粋理性批判』先験的論理学の構想その他
 ・弁証法が技化した頭脳活動を味わう――一会員による『“夢”講義(3)』の感想
 ・教育の政治的中立性を問う
 ・日本経済の歴史を概観する
 ・2017年6月例会報告:カント『純粋理性批判』純粋悟性概念の演繹
 ・一会員による『学城』第15号の感想
 ・改訂版 続・心理療法における外在化の意義を問う
 ・2017年7月例会報告:カント『純粋理性批判』原則の分析論 緒言〜第2章第3節2
 ・ルソー『人間不平等起原論』の歴史的意義を問う
 ・夢の解明に必須の学問を学ぶ――一会員による『“夢”講義(4)』の感想
 ・ヒュームの経済思想――『政治論集』を読む
 ・現代日本の政治家の“失言”を問う
 ・2017年8月例会報告:カント『純粋理性批判』経験の類推
 ・障害児の子育ての1年間を振り返る
 ・新しい国家資格・公認心理師を問う
 ・経済学の原点を問う――哲学者としてのアダム・スミス
 ・2017年9月例会報告:カント『純粋理性批判』経験的思惟一般の公準その他
 ・徒然なるままに――40歳を迎えて
 ・過程的構造とは何か――一会員による『“夢”講義(5)』の感想
 ・〔改訂版〕新自由主義における「自由」を問う
 ・2017年10月例会報告:カント『純粋理性批判』反省概念の二義性
 ・続・徒然なるままに――40歳を迎えて
 ・教育実習生に説く人間観の歴史